むごい冬のあと
厳しい冬が嫌いじゃなかった。 青白い夜の サラサラと乾いた粉雪の広がりは 遠く見通す道を連想させて 氷点下の足跡が風に消え 来た道を、たとえ戻っても それはいつも新しい道に思えた。 寒さが 身体を小さくして、体温を濃密に […]
さくら
この今 穏やかな一瞬の今 変わりない日常の今 なんの変哲もない時のなかで さくらが咲いている
出版 ひりつく色
去年、本を出版するといいながら、 なかなか出来上がらず 自分自身も待ちつづけている。 いつ出るの、と 聞かれる時があるが、苦笑いしながら もうすぐ出るはずだけどと答えて、いつなのかは、まだ解らない。 タイトルは「ひりつく […]
黒■の間
職人社秀平組は 15年前、40年ほど経ったボロボロの鉄骨倉庫に ベニア板を打っただけの 隙間風をいまだ完全に止めきれない事務所である。
これからに向かって
今年に入って 以前に比べれば長く眠れる日がある。 睡眠を誘う薬を飲まないで 眠れる日も多くなってきた。 早い時間から床に付いたりしている
春を待って
もの心の たどれる一番遠い記憶の おぼろな空気感 手を強く引かれて歩いた春の陽ざし。 その感覚が、今も記憶の底の底に、 溶けないものとして残っていた。
一、壁 ニ、障子 三、柱
2014年、師走。 古い町並みのメイン通りから 一本隣の角地で久しぶりに、 地元で仕事らしい仕事をさせてもらった。 施主はまだ40代と若くて、 ただ安さ一辺倒ではなく、良い施工をしてほしいという もちろん限りはあるが、 […]
和風座敷 黒■の間
自分の住む家は、 親父が建てたもので築後40年が経つ。 今ではもう 建たなくなった木造和風造りで、 当時飛騨では、なかなかの腕前を持った大工の手によるのもである。
むごい冬
12月中旬。 本格的な氷点下に冷え込んだあと、 雨混じりの雪が降った。 生ぬるい雨雪が凍った地表を 水蒸気で充満させて、淀んでいた。
大西洋の海
フランス、パリでの仕事、 16日空港に着いてから直ぐ電車に乗りかえて、さらに3時間30分 フランス西部のブルターニュへ行ったのは、 この仕事の素材をさがす為である。