冬も終わりに近づき、まだ息が白く映るころ。
ふっと夜中に目がさめる

さて、何時なのだろうと時計を探している
廊下ごしに見てとれる、外の気配は真夜中でもない。
起きあがり窓越しに様子をうかがうと・・・・・
外は深く夜が明けはじめようとしている少し手前、
                 真夜中の終わりのころ
ブルーで・・・・・夢幻で・・・・・。


すべての生物が、一定の呼吸でねむっている静寂の時間、蒼い時。
遠くただよう霞の流れ・・・・
真夜中と明け方のあいだの瞬間。
そんな蒼い時にさそわれて・・・・・外へ。

見上げると青白く透き通った月が、冷えた光を放ち凛として自分を見ている
そしてそれを黙って見つめている自分・・・・
・・・・・・ただ見上げている自分。

凍てた土、黒く映っているのは、大木の暗影
なぜか目覚めたのではなく呼ばれた様なきさえする
言葉を音を、本能が発してはいけないと伝えている

今、ここにはだれもいない、何の気配もない
油断と安心感があり・・・・
逃げ様もなく、自分は一人であるという
絶対的孤独感がただよっている・・・・
冷えてゆくからだ
風もない
このまま冷えきってしまうと、
・・・・自分は消えてなくなってゆくのだろうか?

無音の音が落ちてくる
恐くなるほどに静かで素直になっていく自分。
目をそらすことも、まだ動く事も許されてはいない
人間失格。なにひとつ、隠せない
すみきった淡い光にすかされて
体を突き抜けた光が影となって映っている

あまりに美しい蒼の世界
あまりに悲しい蒼の世界
・・・冬の終わり・・・・蒼いとき。