ひとつひとつの、技能と
ひとりひとりの、感性だけでは

いずれ切れて
散れぢれになってしまうだろう。


この先は
自分を含めたひとりひとりが
場所となることを目指して

ひとつの命で終わらない永遠の
背景を連綿と流れる水となる。

あの日の
あの焼けるような夕陽の

首筋から耳元に走ったざわめきの
原郷をつくり戻ってゆくのだ。

耳で感じ
目で触れる

その水となれない者は、ちぎれてゆく
その水になれなければ、背景にはなれない。

どこへ旅したとしても
最後に見つめるものを信じ
切れて散れぢれにならない
小さく無数に結びあった場所をつくる。

我々は
ひとつひとつ、
 〆固めた拳の縄となる

縄から藁へ、枯葉へ。

やがてそこは
生と死を続ける
盛りあがった場所になり

我々は
背景のある集団になるのだ。