バルコニーから見おろす水平線
遥かな光の道を渡る船
ハイウェイに広がる草原に
レンガ造りの小さな家が流れゆく
旅先の、大きな場面、場面の
渇きと
ザラザラと
なめらかさと
湿りけを
持ち帰ることも
身体に残すこともできなくて
ただ黙るしかなく
ひとつ石を拾う。
手のなかの石
そして旅はつづく・・・
また見知らぬ海が見えてきた
砂浜にたった足跡が波に消えると
手のなか私になった石を投げて
冷たい石、またひとつ握る。