青い星が流れて消えると
    遠く黒い海に走る稲光

それは老いた漁師が
     稀であった、という海だった


外海にかすむ防潮堤

ひとり波の音に身体をゆるめ
   潮の風に吹かれていたかった

旅の夜の海は
固く覆った自分を放つ場所
穏やかでありたい願いと
苛立ちを噴き出し
痛みを力に変えて生きてきたこれまでの自分

どちらかひとりを浮かべて、写しだす

突然、
切れぎれの雲が稲光を連れ

海は黒く荒ぶり

潮が首の汗に巻きつき
閃光が音もなく海を焼き

裂けて迫る闇が
この眼の中で弾けているのだ

弾けているものの中に見える

身を削り怒りで生きた
強く、黒く輝く
あの頃が浮かび、震えている

黒く荒ぶる海が
  震える自分を苛立たせて
     激しさを注ぎ込んでくる

自分を変えることなどできないのだろうか?

あの時、流れた星は
この身体を切ろうとしていたのだろうか?