時折、ぜひ読んでくださいと、本が送られてくる。

大変、大変申し訳ないことに、
   自分はそのほとんどを読んだことがないから、
              まったく失礼なことだと思っている。

しかし、そう思うから、

いつかは読まなければと、
   自分が机に向かって座るすぐ後ろに、
         いつでも目に留まるようにと並べてあるのだが・・・。


今、自分の背中ごしに、
  ざっと数えただけで20数冊もが並べてあるのに

   どれも、ひとつも読んだものがないから困ったものだと思っている。

だいたいにおいて、
 子供のころから外で遊んでばかりで、
            夜は途端に眠たくなってしまう。

授業中はふざけてばかりで、

小学生の時から学校の勉強はまるでダメ。

夏休みが終わりともなると、
   同じクラスの女子から宿題の答えをうつして、
      そのうつしさえも、最後まで書かないのだから仕方がない。

              作文などは叱られても書かないという主義。

自分でも俺ってまったく頭が悪いなぁ?
             小学生の時点から自覚するようになっていた。

親から勉強しなさいと、あまりに叱られるから、

少しは勉強しようとまじめに取り組んだことが
                 無い訳ではなかったが、

しかし、算数はもう出遅れているから難しいし、
       理科にしても化学的な事となると基本の元が
                    ないから同様で、これもダメ。

虫や蛙の問題だと、なじみがあるから正解率が高かったが・・・・

テストの結果はせいぜい頑張って、5?60点というあたり。

社会は何とか暗記することで太刀打ちできるから、
    国語もがんばれば、何とかなるかもしれないと
                    努力をした覚えがある。

そうして・・・テストが配られてきた。
          
文章を読む、棒線が引かれているところを指して、

作者はここで、何が言いたいのかを答えなさい、
          という問題が複数出されたことがあった。

当時、自分なりによく読んで、
       作者を懸命に想像して、

答えの欄いっぱいに、自分の思う作者の気持ちを
       枠からはみ出さぬよう細かな字で書き綴ったことがあった。

それから数日後、答案用紙が返ってくると、

いくつかの漢字問題が当たっていただけで、
           文章で答えた欄はほぼ、0点・・・・。
             当時、小学4?5年生か6年生だったと思う。

三丁目の夕日ではないが、
  家は、おやじの弟子たちと一緒に寝泊まりしていた時期があって、
    
会社の職人が増えてきたことで、やがて大きな食堂が出来ていた。

そんな食堂にひとつ大きめの本棚があって、
              ある日、眺めていると、

        風の又三郎という古めかしい箱入りの一冊が目に入った。

しっかりとした本で、厚さが2�ぐらいあったように思う。

そのタイトルがおもしろそうだと思って、手に取った・・・・。

数ページ読んで、何のこっちゃと訳がわからず、
         こりゃ・・・ダメだと真剣に思ったことを覚えている。

これ以降、俺は国語は全くダメなんだと悟って・・・・

これまで、ほとんど本をまともに読んだことがなく、
                   ここまでを生きてきた。

30代になって、
あの小林氏のコラムを綴り、枕元に置いて毎日読んだのが、
                   久しぶりの活字との接点で、

これが、やがて本となった左官礼讃は、
       何度も何度も、今でも時折その本だけは開くことがある。

知りたい本の知識は、

その本を読んだ人を探して、
   その人から酒でも飲みながら口で教えてもらうと、
                    それが一番頭の中に入る。

そんな自分が、いつのまにかこうしてブログを書くようになった。

そして今回、初めて物語を想像し、
         本を出版したのだから、
             自分でも驚くばかりなのだが・・・。

もちろん苦労して書いたし、

編集も全て自分の感覚でやったから、愛着があり・・・・

本を出した以上、最低限は、いろんな人達に読んでもらえたなら嬉しい。

それで今、この本を何人かの人に送りたいと思う時、

       ふっと頭によぎる。

本など送っても、送られた人は読まないかもしれない・・・・。
             もしかしたら迷惑なのかもしれない・・・・。

そう思えてしまう今、
      本は手元にあるが、どうにも送ることに躊躇してしまう。

まったくもって、送られてきた本は全く読まず、
        自分が送る本はちゃんと深く読んでもらって、

                    尚且つ、感想を聞きたくなる。

出来れば、

自分が考えてもみなかった側面からの感想を聞ければ、
                 刺激があって尚更うれしい・・・・。

と、書いてなんだろう・・・このどうしようもない
                   自分勝手な状態は・・・・。

しかし、子供の頃からの習慣は、
   そうそう簡単に直せるものではないから、
             仕方がないと理解していただきたいものだ。

     
        人が書いた本を読むというのは、実に難しいものである。

おもしろき こともなき世を おもしろく
              住みなすものは 心なりけり

            ・・・と、今ここで何で高杉晋作の辞世の句!

    ??、自分でも意味不明だが、
           こんな自分が本を出したということが、
                    それほど不思議に思えている。

3月12日?25日まで、東京銀座、兜屋画廊にて
ささやかな展覧会を開くことになった。

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青と琥珀 歓待の西洋室物語 光のむこう

1件のフィードバック

  1. こんにちは。
    初めてコメントさせて頂きます。

    昨年、飛騨での講演会で挾土さんに初めてお会いして、お話しを聞き、ますます好きになりました。
    日記もUPされるのが毎回楽しみで、興味深く読んでいます。

    『本と自分』
    挾土さんは素敵な詩を詠まれますし、『のたうつ者』や日記を読んでいても思うのですが、挾土さんは文章を書く能力にも長けてらっしゃるから、きっとたくさん本を読まれてるのだなぁ…て。なので『本と自分』は読んでて意外でした(*^_^*)
    でも何だか少し親近感がわいたりして…(*^_^*)

    近々 本屋さんで“三部作”を予約したいと思っています。
    …いつか個展を開かれる事を楽しみにしています(*^_^*)