二艘の船が沈み、
海の道が閉ざされたとき
地方に現れる
三人の若い強者の叫びに
政治はあっけなく、くつがえされる
人々はひとつになって強い力を持ったあと
三分化し、互角の戦いの中で力を失い
あらゆる土地が売り渡されるだろう。

いつの日か、
高地の都市が燃えたあと
埋め立てた黒い灰から浸み出す水によって
海の町からは白い花が消え
葉脈がわずかに浮きたち
アスファルトの隙間から
燃えない草が芽ぶき、土がやせ細る
穀物は薄紫を帯びて実るだろう。

大陸の地底が深く削られたとき
微細な卵の層がむきだしになり
乾いた寒気にのって宙を舞う
雨とまじり、雪に包まれて地中に染みこんだ卵は
やがていっせいに目を覚まし
そこから光を嫌う虫が産まれるだろう
そして彼らは地中にある
すべての植物の根を食いつくす。

世界の誰かが電子の箱に偶然打ち込んでしまう、
文字と記号と色と数字の不吉な文字列
無意識に生み出されてしまった不吉な文字列は
意思を宿して《 Enter 》を押すたび、ふたつに割れる
ひとつは、その目へ住みつき
ひとつは、別の画面へと潜む
分裂は、一切が無音のまま繰り返され
凶事はEnterに比例して起きるだろう。

若者の間に、指導者のない宗教が生まれる
無気力の者と妄想の者達は
繋がることもなく、膨れあがり
人命尊重と平等の名のもとに
社会は食糧と毛布を与え続けることになる
未来を見る者は、
生まれた土地の言葉を捨て
振り返ることもなく、光の港を目指すだろう。