気づかないか?

したたる汗の味の違いを
その口の中が白くひび割れはじめていることを

土の湿りをしぼりだし
熱い蒸気をまとった埃


そんなにうつくしいか?
咲き弾けている、あのひまわりが。

あんなに遠くに飛ぶ羽根をとらえ
あんなに小さな小鳥の声に、なぜ振り向いている?

燃えるように雲が薄れ
揺れる樹々の葉緑が、かげろうを振りまく

突き抜けすぎた、あの空の青さ

草の汁を吸いだして吹く
         濃密な風に吹かれている

垂直のひかり隙間なく
追われつづけている影。

浅い眠りの寝返りに
手足がうねった息を吐いている。

私は、立ち枯れた大樹の下
カサカサと音を踏み
化石の眼

眼を閉じて眠れぬ眼。