シンシンの、
    氷の空は澄みきって

とがった杉の群列は、
     凍った霜にふちどられ、寡黙

青くばらけた星々は、
    十字の針を突きだして
        折れて、こぼれて、またまたたく

シンシン、シンシン、空シンシン

またたく光が、岩を打ち
     白く覆って裂け目をつくる

            放射冷却、夜明け前


息を刻んで、小さくいる

あしたの独りを固めるために

闇の青さに、
   かさなり潜む稜線が
      黒く浮き立つときを待っている

見わたす限りと、背後から

角度のひかりが、やってくるとき

黒い氷の鏡から
    飾りと心が切り離されて

         放射冷却、夜が明ける

空気の粒がキラキラ吹きあげ

冷気のはりが、
   ジグザグ点滅、降っている

この広がりに宿っているもの
     心の奥に隠されているもの

空と額を水平に
    この手がたどった真実はどこに

あの枝先の芽と、この髪の先はひとつになれたか?

    地中の熱と、このふるえる熱はどこまで深い?

        自分を一重密にして、この輪郭を変え、抜けて出る

銀色白い、針に覆われ

シンシン、シンシンあたらしく
       突き刺ったり、斜めに横に

放射冷却、空の下

眼の前、杉の群列は、
       灰色、銀にふちどられて寡黙。