音もなく降る雨を見ている

夜の暗がりを、
    あざやかにより黒く

11月の終わりの雨・・・

静かな細い雨は、
    わずかな息吹を見逃さず

痛みも与えず終わらせて
       眠らせてしまう


朝になると、
   外はうっすらと白く包まれていた

雪に折れたススキ

それが白い骨のように見えて
       畑や田の土も皆、冷たくなって
             植物たちの息は消えていた

坂道を行く

その先には、よどんだ重い霧と
        なまり色の青い雲

足元には、サビた鉄と枯葉が濡れていた

冬のはじまり・・・
    
それなにの身体から吐く息は
          生あたたかく流れでて

ビューっと風が耳をかすめると

      お前だけが、熱いままだと吹き抜ける。

白い陽は、雪も氷も解かさずに
        雲を裂いて、霧をはらい

雪をすくった手の平から
        したたって落ちる傷みと輝き

耳からこの眼の裏側へ
耳からこの頭蓋骨の裏側まで

冷たくなれ
冷たくなれ

白と青と黒の、
光と影の移ろいに

        冷たく身体を焼きつける