どんどんと時代が悪くなっている、
ひとつの焦りなのからだろうか? 

それとも、
過ぎてゆく時間に対する意識が、
        人一倍強くなってきはじめているからなのか
                         わからない?

・・・時として、
さいなまれる自分の中に住む暴れ者が、また動き始めたかのような・・・・

いたたまれない圧力に、もうへとへとに疲れきっている。

どうにもならず、掴みようもないものが
  自分の中の、この心のなかで、
       攻めぎあっているというか、混ざりあっているのか?

そんな反応が膨張して、いまにも弾け散ってしまうような、
               捕らえようのない感覚と戦っている・・・・

ただ、やみくもにイラついて、
        何か解らないものにつぶされるような

今、そんな情緒不安定な状態が続いていて、やむことを知らない。


深く息をして…
   気分を変えて…

出来るかぎり、ひとつの事を考えたりしないように…

自分の気持を一点に集中させないよう、
意識してごまかし、
     誰かを探し、 
       調整をしていないと平静を保っていられない。

渦巻くような気持のなかで
なんとなく遠い昔の子供のころにも、
          この状態に似た感覚があったような…

漠然とした記憶がほんの一瞬、よみがえっては消えてゆく。

ちょうど季節はずれの台風がきていた・・・・

車を止めて、なにげなく目の前の山々を見ていると、

山全体を覆う落葉樹の葉群れが、
強風にあおられて揺れ動くさまに、
       いつの間にか引き寄せられていて、

その樹林の揺れ動く姿が、
  まるで緑色の炎となって燃え盛っているように
             見えはじめてしまったり・・・・・

そのまましばらく巨大な緑炎を静止していると、

普段は何気なく映っている山が、
 実はあんなにも巨大で激しくて、そら恐ろしくもあり・・・ 

生命力が燃え盛って訴えてくるように感じられて・・・・
なんだか自分が圧迫されて、息苦しさに変わってきてしまうのだ。

だんだんと胸で呼吸をするようになり、
        自分で自分の調整が効かなくなってきている。    
・・・同時に、

雲の流れもまた、分厚く巨大な大陸のように見え出して、
                     空を覆いつくし、
圧倒的な支配を思わせて、
それがこの目の前で音もなく確実に流れ移動してゆく・・・

そんな空の計り知れないエネルギー押し潰されそうになる。

国道沿いに立ち並ぶ数十本の旗が、
       風に激しくゆれなびいてむしばみ、
             食いちぎられている光景に、
      
あらためて風という者の、
顔や形や鋭さを見るような気がしてしまう。

・・・一瞬、
激しく渦巻く雲の切れ間から差し込む光が、
                車のフロントガラスを通して、

ハンドルを持つ右手が照らされたとき、
     今、自分の皮膚が、触れられたといった
             錯覚に捕らわれてしまったりもする。

こうした、
自分に巻き起こっている心模様は、いったいどこからくるか・・・?
と考える。

確かに、
経済の低迷は続く一方でとどまることを知らず、
       それでも、それを承知の上で飛び出した自分・・・・。

毎日の仕事の確保や、職人達の事。
     時代の厳しさに神経をすり減らし、
           意に添わないことを飲み込みながらも、

        なんとかここまで来たと言うこともあるだろう。

そして、この先にも待ち構えている、
様々な不安な予測を、考えずに入られないからなのかもしれない。

でも、今の自分が、
      もっとも強く自分に問いかけているもの・・・・・・・・

・・・・お前は、たとえそれが闇雲でも本当に精一杯、
            大きく生きているかどうか・・・・・・?
常に、遠くても一つの目的を見つめて、
       少しずつでも前進しているかどうか・・・・・・・?

まさに答えは明らかで、
その頃の自分は、なにも動かずごまかし、
       ただの時間を過ごして、逃げていたことに尽きる。

土を通して・・・左官塗り壁として、職人として。
                ・・・・・それもくだらない。

  お前は・・・・
    お前は・・・・
      おまえは・・・

ひとりの人間の人生として
その時々の一点に夢中になり、
時を忘れたチャレンジもしていない。

  腐っている・・・
   存在もない・・・
    もう、とりかえしはつかない。

まだ、つめたい鉄塔をばかりを、見ているつもりか・・・

そんな自分に対しての問いかけが、
       いらだちとなって映した、
           心模様であったのだろうと思っている。